Written by Manabu Bannai

【リスティング広告を勉強する為の必読本】リスティング広告 成功の法則

BOOKS

『リスティング広告 成功の法則』を読みました。2年前くらいに一度読んだ本ですが、復習がてらにもう一度読みました。Kindleのハイライト機能をつかって重要な部分をまとめたので記事内で共有します。

キーワードマッチの概念整理

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AISAS理論の必要性

リスティング広告について考える場合においては、やはりAISAS理論が必要になってきます。AISASとはAttention(注意)、Interest(興味、関心)、Search(検索)、Action(購買)、Share(共有)の頭文字を取ったものです。人々は、この流れで消費活動を行うというモデルです。

その他の心理学的な法則は以下の記事でまとめています。
» 心理学に基づいた『絶対に売れる』ランディングページの作り方

オーガニック検索1位でもリスティング広告を出稿すべき理由

オーガニック検索結果で1位であっても、検索連動型広告の出稿によって平均的に総クリック数を50%高めることができるというデータを、Googleが発表しました。つまり、広告をストップするとその50%はオーガニック検索だけでは補いきれないということになります。

コンバージョン計測のタイミング

リスティング広告でのコンバージョン計測のタイミングは、最終的に広告をクリックした日付です。 例えば、12月1日にリスティング広告をクリックしてサイトへアクセスし、12月3日にブックマークやお気に入りから再アクセス(ブラウザのCookieが削除されない限りデフォルトで30日間有効)してコンバージョンになった場合、「コンバージョン発生日は12月3日」ですが、Googleアドワーズ、Yahoo!プロモーション広告の管理画面上ではコンバージョンが加算されるのは12月1日です。そのため、過去の日付でコンバージョン数が増加するなどの現象が日常的に発生します。

「オークション分析レポート」で競合のチェック

Googleアドワーズであれば、「オークション分析レポート」という機能を使って競合の動向をチェックできます
Googleアドワーズ管理画面上で「キーワード」タブを選択し、特定のキーワードにチェックを入れて「キーワードの詳細」から「オークション分析(個別キーワードのみ)」を選択すれば、上図のように競合他社の平均掲載順位や重複率、上位掲載率など、さまざまな指標を見ることが可能になります。

※参考記事
» オークション分析、その概要と使いかた《Google AdWords》|リスティング広告の運用代行ならカルテットコミュニケーションズ

リスティング広告の適切な予算の決め方

【目標獲得数から考える】
「このくらいのコンバージョン数があるといいな」という、目標のコンバージョン数からリスティング広告の予算を決めることができます。主に、単品通販などで用いられる場合の多い考え方です。

ただし、企業によりビジネススタイルはさまざまで、単純に利幅だけで目標獲得単価を決められないケースも多く存在します。その場合の、オーソドックスな2つのパターンを次に紹介します。

【平均購買単価から考える】
利幅が異なる商品が多数ある場合です。
例えばワインのECサイトを運営している場合、商品によって利幅が異なります。商品数も数百、場合によっては数千を超えるケースも少なくありません。これらをすべて計算して、商品ごとの目標獲得単価を決定するのは容易ではありませんし、リスティング広告運営担当者の作業負荷も多大なものになってしまいます。このような場合、顧客の平均購買単価から目標獲得単価を求め、適切な予算を導き出します。※ECサイトによっては、商品ごとにキャンペーンを構成し、それぞれの目標獲得単価を決定しているケースもあります。

【LTV(ライフタイムバリュー)から考える】
リピート性の高い商品を扱う場合です。
リスティング広告では、LTV(ライフタイムバリュー)という考え方も非常に重要です。顧客生涯価値ともいわれ、1人の顧客がその企業に支払う合計金額を意味します。例えば、リピート性の強い商品を扱うモール型のECサイトは、LTVを考慮する必要があります。リスティング広告からコンバージョンした顧客が、複数回リピートすることによって大きな利益を生む可能性があるわけです。LTVを用いて目標獲得単価を導き出すには、平均購買単価、原価率、粗利率、平均リピート率が必要になります(ここでは計算式簡略化のため、リピートは1度限りという設定)。

キーワード入札価格の相場チェック

キーワード入札価格の相場はGoogleアドワーズの「御見積計算ツール」などを利用することで調べられます。

「キーワードウォッチャー」は、ターゲットが検索しているキーワードについて、実際の検索ボリュームのデータと種類を見ることができる信憑性の高いツールです。時には他のキーワードツールでは表示されない「穴場」なキーワードを発掘することもできます。キーワードツールを活用する場合は、最低2種類のキーワードツールを利用することでバリエーションが広がり、精度と信頼性が増します。さらに、Yahoo!プロモーション広告のキーワードアドバイスツールや、「フェレットプラス」(http://ferret-plus.com/)のキーワードアドバイスツールを利用するのも有効だと言えるでしょう。

「検索クエリレポート」で本当のターゲット行動を洗い出す

検索連動型広告を出稿する際、部分一致やフレーズ一致、絞り込み部分一致など、完全一致以外のキーワードマッチを利用するケースが非常に多いのではないでしょうか。そんな時に活躍するのが、GoogleアドワーズとYahoo!プロモーション広告のどちらにも管理画面がある「検索クエリレポート」です。検索クエリレポートは、部分一致などで登録されたキーワードがどんな検索クエリで検索されて表示されたかを見ることができる、非常に便利な機能です。

コンバージョンまでの期間を把握する

「あなたの担当するサイトでは、ユーザーがコンバージョンするまでの期間がどのくらいか、把握しているでしょうか」。筆者は仕事柄さまざまなところでこのような質問を行いますが、正確に把握している担当者はほぼ皆無といってもいいでしょう。そのようなケースでは、Googleアナリティクスを導入していれば、ユーザーの購入までの期間を簡単に導き出すことができます(必ずしもGoogleアナリティクスである必要はありません。コンバージョンまでの期間を把握できるツールであれば十分です)。

Googleアナリティクスにログインし、左にあるメニューから「コンバージョン」➡「マルチチャネル」➡「期間」とたどると、訪問者がサイトにアクセスしてから購入に至るまでの期間を確認できます。

これはとあるECサイトの事例ですが、このECサイトではサイトへの訪問から5日間の間に約55%ものユーザーが購入アクションへ遷移しています。つまり、半分以上のユーザーは5日間以内に購入の意志を決定することになります。その後はちらほらとコンバージョンを生み続け、30日以内に残りのコンバージョンが発生しますが、明確にどの期間に多くなるといった傾向はありません。

コンバージョンまでの期間によって「リストを絞り込む」という視点

一般的なECサイトでは、ページを訪れた時期が近いほどユーザーのモチベーションは高いと言えます。反対に、時間が経てば経つほどユーザーのモチベーションは下がっていく、とも言えるかもしれません。前述のECサイトでは、約55%のユーザーが訪問から5日以内に購入アクションへ遷移していました。これらを踏まえ、購入へのモチベーションの高い組み合わせ、つまりここではパターン2への入札価格をパターン1よりも引き上げることで、更に多くの購入を発生させることができる可能性があるということです。

リストを再考する」という視点
さらに、リストそのものを再考する必要もあります。例えば、1日で数万セッションを呼んでしまうような大規模な有料の広告を配信したとしましょう。この広告でサイトへ誘導したユーザーが、すべてモチベーションの高いユーザーであるとは言い切れないケースもあるでしょう。中には直帰率が90%を超えるような広告も少なくないはずです。そんなユーザーをリスト化してしまっては、リマーケティングの精度が低くなるのは間違いありません。そのようなケースでは、別途ランディングページを用意するか、Googleアナリティクスリマーケティングで、特定の参照元からの流入をリスト化しないという選択肢も用意しなければなりません。

※参考記事
» Google アナリティクス リマーケティングでできること – Google 広告主コミュニティ

コンバージョンオプティマイザーとは

コンバージョンオプティマイザーは、Googleアドワーズのコンバージョントラッキングデータを利用して、指定した上限コンバージョン単価の中で自動で最適化してくれる、非常に便利なツールです。  過去のキャンペーンの情報に基づき、上限コンバージョン単価の目標を達成するために、広告表示の機会が発生するごとに、自動的に最適なクリック単価を計算して入札調整を自動で行ってくれます。忙しい担当者には非常に便利な機能です。  コンバージョンオプティマイザーを使用するには、特定のキャンペーンの過去30日間のコンバージョン数が15件を超えている必要があります。ある程度運用して、成果が上がっているキャンペーンでの使用が可能ということです。コンバージョンオプティマイザーはリマーケティングのキャンペーンに限らず、すべてのキャンペーンで上記の条件を満たしていれば利用可能です。ここではリマーケティングへの利用を解説します。

デバイスごとの成果確認

キャンペーン画面で「分割」から「デバイス」を選択すれば、デバイスごとの成果を見ることが可能です。「フル インターネット ブラウザ搭載の携帯端末」がスマートフォンの成果、「フル インターネット ブラウザ搭載のタブレット」がタブレットの成果です。

アトリビューション

マルチチャネルが生み出す新しい可能性  「アトリビューション」が注目を集めています。インターネット広告においてアトリビューションとは、成果に対する広告の寄与度を明確に・明らかにすることを指します。あるネットショップで、バナー広告と検索連動型広告をともに行っていた場合、バナー広告を踏んだのち検索連動型広告でコンバージョンするユーザーもいれば、検索連動型広告を踏んだのち最終的にはバナー広告を踏んでコンバージョンするユーザーもいることでしょう。後者の場合、「検索連動型広告がなければ、バナー広告でコンバージョンが生まれなかったのではないか」という仮説を立てられますよね。これまでは、コンバージョンに直接的に寄与した広告の効果、いわゆる「直接効果」で広告成果を測ることがスタンダードでしたが、アトリビューションの概念では、直接効果以外の間接効果の関与度を明らかにすることで、結果的に全体的な獲得数(収益)を最大化することを目指す取り組みに注目が集まっています。このような分析にはGoogleアナリティクスの「マルチチャネル」が便利です。

Googleアナリティクスにログイン後、左にあるメニューの「コンバージョン」から「マルチチャネル」を選択し、「コンバージョン経路」からコンバージョンに至ったユーザーの行動経路の詳細な分析が可能となります。また、「セカンダリディメンション」を利用すれば、キーワードごとの貢献度も見ることができるので、リスティング広告に携わる方にはお薦めです。この分析で、各媒体ごとやキーワードごとの直接効果だけではなく、間接効果を明らかにできます。間接効果が明らかになれば、実際に成果を上げている媒体やキーワードを正当に評価することができるようになるでしょう。これにより、獲得数(収益)を最大化することを目指す取り組みが可能になるのです。