Written by Manabu Bannai

まとめ:お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ

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お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015の読書メモです。

スタンリーとダンコは、「収入の10~15%を貯蓄に回す倹約を続けていれば、誰でも億万長者になれる」と説きます。正確には「平均年収の倍の収入」が必要ですが、これは夫婦2人で働けば達成できます。  日本では、平均的なサラリーマンが生涯に得る収入は3億~4億円といわれています。共働き夫婦の生涯収入を総額6億円として、そのうち15%を貯蓄すればそれだけで9000万円です。仮に貯蓄率を10%(6000万円)としても、年率3%程度で運用すればやはり退職時の資産は1億円を超えているはずです。

資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)

芸能界では、仕事をもらったプロダクションは、テレビ局などの発注担当者に現金で謝礼を払うことが慣習化していました。5000万円の仕事を発注すれば、5%のキックバックで250万円が懐に転がり込んできます。キックバックが慣例となっている業界は、建設業から広告・メディア業界まで多岐にわたります。

金投資は相変わらず人気ですが、貴金属店で金地金を買うと、商品先物市場で金の先物を買うより10%近く割高になります。メープルリーフ金貨のような加工品を購入すると、20%も割高です。売買手数料も、地金で5%程度、金貨で7%程度と法外です。商品先物会社のインターネット取引を使えば、手数料率は0・1%程度ですから、比較になりません。そのうえ、先物で買った金を期日に現物で受け取ることも可能です。

現代ポートフォリオ理論は、「分散投資」の勧めとして知られます。マーコウィッツは、ひとつの株だけを持つよりも、複数の株を組合わせた方が、同じリスクでより高いリターンが期待できることを数学的に証明しました。この理論は証券会社にとって、さまざまな金融商品を投資家に売りつける格好の口実に使えるので、広く宣伝されています。「タマゴはひとつのカゴに盛るな」というわけです。  ところが、マーコウィッツがノーベル賞を受賞した理由は、別のところにあります。彼は、同じ統計学の手法を使って、「もっとも効率的なポートフォリオとは市場全体に投資することである」という発見をしたのです。「市場全体に投資する」というとなんだか難しそうですが、要するに、TOPIXやS&P500のような市場全体の動きに連動するインデックスファンドに投資しなさい、ということです。こうした株式市場のインデックス(株価指数)を、〝効率的ポートフォリオ〟といいます。

この効率的ポートフォリオの発見は、証券会社にとって非常に都合の悪いものでした。もしマーコウィッツが正しいとすれば、個別株投資が否定されるばかりか、ファンドマネージャーは存在価値を失い、大半の投資信託は不要のものになってしまいます。投資家はただ、何も考えずにインデックスファンドを買えばいいだけだからです。そうなれば、証券業界は消滅してしまうかもしれません。

ファンドマネージャーが運用する投資信託をアクティブ運用、それに対して、いっさいの恣意性を排除して効率的ポートフォリオ(インデックス)で運用する投資信託をパッシブ運用と呼びます。この両者のどちらが有利かは金融業界で長年にわたって論争の種になっていますが、学問的にはほぼ決着がついています。アクティブ運用の投資信託の平均的なパフォーマンスを調べると、パッシブ運用に比べて、手数料コストの分だけ負けているということが、各種の統計調査で明らかになっているからです。星の数ほどある投資信託のなかから平均を上回るファンドを選ぶ慧眼がなければ、アクティブ運用のファンドへの投資は、ファンド会社に手数料を寄付しているのと同じことなのです。

その後、同じくノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービンによって、最適なポートフォリオを維持したまま、投資のリスクを調整する画期的な方法が発見されました。このやり方も非常に簡単で、インデックスファンドと国債を組合わせるだけです(国債は、国家が支払いを保証した無リスクの資産という意味で使われているので、預貯金で代替しても構いません)。リスクを取りたくない投資家は資産の過半を国債に充て、ハイリスク・ハイリターンを望む投資家は、資産のすべてをインデックスファンドで保有すればもっとも効率的な投資ができることを、トービンは、やはり数学的に完璧に証明しました。これも、証券業界では非常に評判の悪い理論です。

現在、もっとも保険料が安いのは、全労済(こくみん共済)、日本生協連(CO・OP共済)、全国生協連(生命共済)などの共済系の生命保険でしょう。これらは毎月1000~5000円程度の定額掛金制で、加入年齢が上がっても掛金(保険料)が変わりません。

それに対して一般の保険商品は、加入年齢に応じて保険料が上昇します。保険会社の主力商品は、終身保険を主契約として、特約で死亡保険や医療保険がついている「定期付終身保険」ですが、この場合、特約は10~15年の定期保険なので、同じ保障を継続して得ようとすれば、更新のたびに保険料が上がってしまいます。こうしたケースでは、予定利率の高い主契約の終身保険は残し、特約部分を解約して共済系の保険に乗り換えることで、保険料を大きく節約できます。

これから新たに保険に加入する場合でも、共済系3社でほとんどのニーズに対応可能です。これらはもともと保険料が安いうえに、決算後の利益を割戻金として保険加入者に還元しているので、割高なうえに契約者配当もない国内大手生保の商品と比較するとコストは半分程度まで下がります。共済に入っておけば、生命保険など必要ない、ともいえます。

病気になって医者にかかると、治療費や薬代に応じて、通常は7割、高齢者は9割の保険金が国保から病院に支払われます。民間保険会社が提供する保険のなかで、このように医療にかかる費用を直接補償するものは(一部の例外を除いて)ありません。日本の健康保険制度はきわめて手厚く、長期入院や高額医療で治療費がかさんでも、患者の自己負担は一定額に抑えられるようになっています。医療費が100万円の場合、患者の自己負担は3割の30万円ですが、高額療養費制度によって1カ月あたり約9万円(70歳以上は毎月4万4000円)が自己負担の上限です。アメリカでは医療費による自己破産が社会問題になっていますが、日本では保険対象外の先進医療でもないかぎり病院への支払いを心配する必要はないのです。

自治体の案内を見ていると、域内の事業主向けにさまざまな融資制度を用意しています。たとえば東京都産業労働局の小規模企業向け融資では、従業員30人以下(卸売業、小売業、サービス業は10人以下)の事業者に対し、最大8000万円までの運転資金・設備資金を返済期間3年以内なら年利1・9%以内、7年超でも年利2・7%以内で融資しています。貸金業者の金利に比べて、べらぼうに有利なのはいうまでもありません。

また日本政策金融公庫では、一時的に売上が減少するなど業況が悪化している事業者に「経営環境変化対応資金」、取引金融機関の経営破綻により資金繰りが悪化した事業者に「金融環境変化対応資金」などを用意しています。融資限度額は4000万~4800万円で、金利は融資期間などの条件によって異なりますが、5年以内なら0・9~2%です。  

個人が公的金融機関の低利融資を利用できる機会は住宅ローンや教育ローンなどに限られますが、法人になったとたんに融資の機会は一挙に広がり、融資金利も下がります。もはや説明する必要もないと思いますが、ここにも莫大な税金が投入され、〝黄金の羽根〟がばら撒かれています。  

ここではその一例として、創業支援用の融資斡旋制度を紹介しておきましょう。これは、制度のある自治体に法人登記をすれば原則として誰でも申請可能です。以下は、私が申請した東京都内某区の創業支援融資斡旋制度の概要です(データは2002年当時のものです。融資の仕組みはいまでも変わりません)。

・融資金利:年0・4%
・融資の上限:1000万円(運転資金のみは600万円)
・返済期間:7年
・融資条件:開業後1年未満(創業前を含む)。同一企業に3年以上(または同一業務に5年以上)勤務し、同一事業で開業すること
・自治体が指定する中小企業診断士の推薦を受けること
・融資は、自治体が指定する地域内の金融機関から行なわれる(金融機関の融資金利は年2・2%)
・融資にあたっては、東京都信用保証協会の保証が条件になる

これを簡単に説明すると、区内に法人登記しただけで、まだ事業を始めてもいない、なんの実績もない(どこの馬の骨かもわからない)人間に無担保で1000万円貸してくれる、という制度です。おまけに融資金利は年0・4%ですから、1000万円に対して1年間に支払う利息はわずか4万円です。民間の金融機関と比較すれば、途方もなく恵まれた条件、というほかありません。

融資は、金融機関から本人宛に行なわれます。融資金利は年2・2%ですが、本人負担は年0・4%で、差額の年1・8%は自治体から金融機関に支払われます。自治体はこの利子補給を、議会によって承認された地域産業振興予算から支出します。元金は金融機関が融資しますから、自治体がリスクを負うことはありません。仮に融資先が破綻しても、自治体にはなんの影響もないのです。  

こうした条件の下では、自治体側の融資担当者は、予算の消化を優先しようと考えます。予算が余れば、次年度からは減額されてしまうかもしれません。役人のアイデンティティはより大きな予算を動かすことにあり、彼らは基本的に、自分たちの仕事が住民の役に立っていると思いたいので、申請者が来ることを切望しています。  自治体から依頼を受ける中小企業診断士も、こうした事情を知っていますから、よほどのことがなければネガティヴな評価は出しません。創業すらしていない事業の「診断」などそもそも不可能ですから、適当な事業計画書一枚で推薦状を書いてくれます(企業のその後に責任を負わないのは彼らも同じです)。  

銀行は自らの資金を年利2・2%で貸し出します。一見するとリスクを取っているようですが、貸出には信用保証協会の保証がついています。これは、万が一利用者の返済が滞れば、保証協会が代位弁済してくれるということです。

このことから、銀行もまたなんのリスクも負っていないことがわかります。形式上は銀行融資ですが、利息は自治体から支払われ、元金は信用保証協会が保証するのですから、要はたんなるブローカーです。確実に儲かるウマい話ですから、彼らもまた、数ある指定金融機関のなかから自分たちが選ばれることを待ち望んでいます。  

したがって、自治体と銀行については、ハンコさえ持っていけば融資の申請をふたつ返事で引き受けてもらえます。この融資でもっとも大きなリスクを負っているのは、元金を保証する信用保証協会です。  この構図がわかると、効率的に融資の申請をすることができます。

日本の会社は新卒で社員を雇い、異動や転勤でさまざまな仕事を体験させます。「ゼネラリストを養成する」などといいますが、実際はその会社でしか通用しない「企業特殊技能」を学ばせるためです。日本の会社では、部品の細かな仕様から稟議書の書式まであらゆることが「暗黙知」で決まっています。  サラリーマンは、その会社でしか通用しない知識や技能を苦労して習得したのですから、景気が悪いからといって簡単にクビになったり給料をカットされてはたまりません。会社としても、悪い評判が立つと優秀な人材が集まらないので、年齢に応じた昇給と終身雇用を約束して社員を安心させようとします。

会社にいわれるままに漫然と働いていると、いずれこの陥穽に落ちることになります。日本的雇用慣行のこうした残酷な構造に自覚的でないと、サラリーマンという生き方は40代を過ぎたあたりからとても苦しいものになってしまいます。  

大手企業でも、最近では40代で役員、50代で社長が珍しくなくなりました。仕事もないまま飼い殺しにされる〝窓際族〟という言葉も死語になりました。いまや多くのサラリーマンが、人的資本を枯渇させた状態で労働市場に放り出されています。これが、日本の社会を蝕む「労働問題」の本質です。  

この「残酷な世界」で生き延びるためには、どうすればいいのでしょうか。目標は明快ですが、実現は容易ではありません。知識社会では、仕事はクリエイター、スペシャリスト、マックジョブしかありません。会社から見捨てられ、マックジョブで一生を終えるのが嫌ならば、クリエイティブクラスとしてキャリアを積む以外に道はないことは誰でもわかります。

人的資本からの収益を増やすには、原理的に、次の方法しかありません。
❶人的資本への投資によって運用利回りを上げる
❷人的資本の運用期間をできるだけ長くする